映画『キングダム』1作目のあらすじは、下僕の少年・信が親友の漂を失い、漂と瓜二つの若き秦王・嬴政と手を組み、王弟・成蟜の反乱で奪われた王宮を取り戻すまでの物語です。
舞台は中国の戦国時代末期、紀元前3世紀。原泰久さんの原作漫画1〜5巻にあたる部分が実写化されています。
筆者はシリーズ4作すべてを劇場で鑑賞しており、今回は最新作の公開に合わせて1作目を配信で3度目の見直しをしたうえで書いています。
- 公開日:2019年4月19日
- 上映時間:134分
- 監督:佐藤信介/原作:原泰久
- 主なキャスト:山﨑賢人(信・漂の一人二役)、吉沢亮(嬴政)、橋本環奈(河了貂)、長澤まさみ(楊端和)、大沢たかお(王騎)、本郷奏多(成蟜)、佐藤浩市(呂不韋)、高嶋政宏(昌文君)、満島真之介(壁)
- 興行収入:約57.3億円(東宝発表)
- 配信:Amazonプライム・ビデオ、U-NEXT、Netflixなどで配信されています(配信状況は変わるため、視聴前に各サービスの公式ページで最新情報をご確認ください)
映画キングダム1作目のあらすじを一言でいうと?
「下僕の少年が、親友の夢を背負って王座奪還の戦いに身を投じる物語」です。
天下の大将軍を夢見た二人の少年のうち、片方が死に、残された片方が本物の王と出会う。この出会いが、後の中華統一へ続く長い旅の起点になります。
映画キングダム1|信と漂の約束とは?
信と漂は、里典の家に買われた下僕の少年でした。二人が交わしたのは「共に天下の大将軍になる」という約束です。
この約束が物語全体の芯になっています。信が何度でも立ち上がれるのは、夢が自分ひとりのものではなくなったからです。
漂だけが王宮へ召し抱えられる
ある日、大臣・昌文君(高嶋政宏/嬴政派の重臣)が二人の稽古を目にし、漂だけを王宮へ連れて行きます。
漂は「信も同じ力を持っている」と食い下がりますが、選ばれたのは漂ひとりでした。
出発前夜の「行き着く場所は同じだ」という漂の言葉が、後の展開への伏線として効いてきます。
漂の死と、託された地図
ある夜、瀕死の漂が信のもとへ戻ってきます。
漂は大王の弟が反乱を起こしたと告げ、一枚の地図を託しました。そして「お前が羽ばたけば俺もそこにいる」と言い残し、息を引き取ります。
ここで約束は「二人の夢」から「信が背負う遺志」へと形を変えました。この転換が、以降の信の突進を支える理由になります。
信と嬴政の出会い|なぜ漂は死んだのか
地図の先にいたのは、漂と瓜二つの顔を持つ若者・嬴政(吉沢亮)でした。信と漂、そして影武者としての漂は、山﨑賢人さんが一人二役で演じ分けています。
嬴政は秦国の若き王であり、異母弟・成蟜(本郷奏多)の反乱で王宮を追われた身。漂は嬴政の影武者として王宮に入り、その身代わりとして命を落としていたのです。
成蟜はなぜ反乱を起こしたのか
成蟜が掲げたのは、王族としての血統への執着です。
母が下賤の身である嬴政を王として認めず、純血の王族である自分こそが玉座にふさわしいと主張しました。この選民思想が、後の嬴政との対比を際立たせています。
なお秦の宮中には丞相・呂不韋(佐藤浩市)という別の権力者もおり、成蟜はこの男の台頭も警戒していました。
「奴隷に戻るか、修羅の道を行くか」
真相を知った信は、現れた暗殺者・朱凶へ怒りをぶつけ、死闘の末に決着をつけます。
嬴政は、漂が自らの意思で身代わりを選んだと語ったうえで、「奴隷に戻るか、それとも薄弱の王を助け修羅の道を行くか」と信に問いました。
信は葛藤の末、漂の夢を無駄にしないために嬴政を支える道を選びます。
河了貂との出会い
逃亡の道中で加わるのが、蓑を頭からかぶった独特の姿の河了貂(橋本環奈)です。
金と引き換えに抜け道を教える抜け目のなさを見せますが、行動を共にするうちに仲間になっていきます。
素顔も素性も伏せたまま話が進む造形で、被り物というひとつの記号がキャラクターの謎を担っています。
映画キングダム1|400年の怨恨を越えた山の民との同盟
王座を奪い返すには、8万を擁する成蟜軍に対抗する戦力が必要でした。そこで嬴政が頼ったのが、西方の「山の民」です。
ただし秦と山の民の間には、400年に及ぶ怨恨がありました。かつて秦が同盟を破棄し、山の民を迫害した過去があったのです。
嬴政と信が語った言葉
山の民の長老たちは嬴政の処刑を主張します。
嬴政は秦王として過去の過ちを認めたうえで、「王が恨みで剣を取れば国は滅びる」と説きました。
信もまた「死んだ奴の一番の無念は、夢が夢で終わったことだ」と訴えます。この二つの言葉が交渉の流れを変えました。
仮面の下は若い女性だった
心を動かされた山の民の王・楊端和(長澤まさみ)は、同盟を決断します。仮面の下は若い女性でした。
得られた兵力は3000。8万に対しては圧倒的に不利な数字です。
筆者としては、この素顔の開示は単なる驚きの演出ではないと考えます。強さの記号だった仮面を外させることで、山の民が「恐怖の対象」から「共に戦う相手」へ切り替わる合図になっているからです。
王宮奪還|3000対8万の戦いはどう決着した?
嬴政たちは正面から攻めず、山の民に変装して王宮内部へ潜り込む作戦を選びました。
成蟜側も呂不韋の軍勢を警戒し、山の民との同盟を欲していたためです。この思惑を逆手に取り、楊端和が同盟復活を申し入れる形で城門をくぐります。
二手に分かれた作戦
門から入れたのはわずか50人。嬴政が仮面を脱ぎ捨てた瞬間、戦いが始まります。
- 正面の囮役:嬴政・楊端和・昌文君(高嶋政宏)。玉座前の広間で成蟜軍の注意を引きつける役目です。
- 玉座を狙う別動隊:信・河了貂・壁(満島真之介/昌文君配下の若き将)・バジオウ(楊端和の側近)。地下の隠し通路から成蟜の背後を突きます。
少数で大軍を崩すには「首を取る」しかない。作戦そのものが戦力差を物語っています。
ランカイと左慈との死闘
地下道で立ちはだかったのが、巨漢の処刑人ランカイと、剣の使い手・左慈です。
ランカイの怪力に山の民が倒れる中、信は跳躍でこれを撃破。続く左慈との実力差はさらに大きく、信は顔に傷を負って追い詰められます。
「戦場に夢は転がっていない」と言い放つ左慈に、信は漂を思い出して立ち上がり、跳躍の一撃で討ち取りました。
成蟜との決着
腹心の竭氏(成蟜軍の指揮を担う側近)も倒れ、逃げ場を失った成蟜は嬴政と対峙します。
嬴政は成蟜を打ち倒したうえで、殺す価値もないと突き放しました。成蟜は命を落とさず、続編にも登場します。
弟を殺さない選択は、単なる温情ではないと考えられます。「恨みで剣を取らない」と山の民に語った言葉を自ら実行した場面であり、統治者としての嬴政の輪郭がここで固まります。
映画キングダム1のラスト|王騎の登場と大将軍への誓い
ラストに現れる秦六大将軍・王騎(大沢たかお)は、嬴政の器を見定め、信に「本物の戦場で会いましょう」と告げて2作目へ話をつなぐ役割を担います。
反逆の証拠隠滅を図る武官・魏興(成蟜側についた王宮の武官)が嬴政たちを包囲した場面で、王騎が姿を見せました。信が幼い頃に憧れた相手です。
「どのような王を目指しているのですか」
王騎の問いに、嬴政は迷いなく「中華を統一する最初の王となる」と答えます。
王騎は満足げに笑い、宝刀の一振りで魏興の軍をなぎ払いました。
信が「いずれ天下の大将軍になる男だ」と叫ぶと、王騎は再会を約して去ります。この一言が、そのまま2作目への橋渡しです。
王騎が裏で動いていた理由
終盤で明かされるのが、王騎が偽の首を昌文君の首として成蟜に差し出し、褒美として領地を得ていた理由です。
王騎は戦いの周囲を軍で包囲し、民に被害が及ばないようにしていました。
不気味な傍観者に見えた男が、実は盤上を最も広く見ていた。この種明かしが1作目の後味を大きく変えています。
映画キングダム1作目の評価|今も支持される理由を考察
ここからは筆者としての見方です。シリーズ4作を追ってきた立場から、1作目の設計を評価します。
優れている点
1作目の強みは、アクション映画でありながら「動機の映画」として組み立てられている点だと考えます。
信が跳ぶたびに漂の言葉が差し込まれ、戦う理由が画面に残り続けるため、戦闘が単なる見せ場で終わりません。
勝ち方の設計も見事です。3000対8万を真正面からの逆転で解決せず、潜入して首を取る手段を選んだからこそ、続く戦争編の「兵の数と将の質がものを言う世界」へ自然につながります。
原作からの取捨も的確でした。1〜5巻には呂不韋を中心とする宮中の権力争いや王弟軍の内情が細かく描かれますが、映画はそこを大胆に落とし、信と漂の関係と山の民の交渉に絞っています。
同時期の漫画実写化には、原作の要素を詰め込みすぎて人物の動機が薄まった例が少なくありません。本作が成立したのは、捨てる勇気を持ったからだと個人的には考えています。
佐藤信介監督は『アイアムアヒーロー』や『GANTZ』でも、荒れた土地を引きで見せてから人物へ一気に寄る切り替えを使ってきました。左慈戦で信が跳ぶ瞬間、広い地下空間の画から顔の寄りへ切り替わる呼吸は、その延長線上にあると考えられます。
気になる点
前半は少年二人の関係を丁寧に描くため、戦争大作を期待すると立ち上がりが静かに感じられるかもしれません。
またランカイや左慈との戦いには血の描写があります。小さなお子さんと観るなら、親御さんの判断が必要です。
なお王騎が昌文君の領地を実質的に守っていたという読み方は、筆者の解釈であり、劇中で明言されるわけではありません。
こんな人におすすめ
観るべき人ははっきりしています。「夢を口にすることが少し恥ずかしくなった大人」です。
左慈の現実論に信が真正面から言い返す。あの数十秒のためだけでも、この映画を勧める価値があると個人的には思っています。
シリーズを全部追うか迷っている方には、まず1作目だけで判断することをおすすめします。1本で完結する構成なので、ここで信の跳躍と嬴政の理想に乗れなければ、2作目以降の長い戦場描写はさらに好みが分かれるはずです。
逆に乗れた方には、王騎の「本物の戦場で会いましょう」が『大将軍の帰還』でどう回収されるかまで見届けてほしいと考えています。
映画キングダム1作目のあらすじ・結末まとめ
映画『キングダム』(2019)は、下僕の少年・信が親友・漂の死をきっかけに秦王・嬴政と出会い、山の民との同盟を経て王宮を奪還するまでを描いた作品です。
3000対8万の不利を潜入作戦で覆し、最後に王騎が現れて信の目標を明確にする。ここで交わされた約束が、シリーズ全体の推進力になります。
シリーズを追うなら、まずこの1作目から観るのが最も分かりやすい順路です。
よくある質問
映画キングダム1作目は原作漫画の何巻まで?
原作漫画の1〜5巻にあたる部分が映像化されています。物語は1本で区切りがつく形にまとまっているため、単体でも楽しめます。
原作を読んでいなくても映画キングダム1は楽しめる?
楽しめます。信と漂の関係から順に説明され、必要な設定は劇中のセリフで補われるため、予備知識は不要です。
映画キングダムはどの順番で観るのがおすすめ?
公開順です。『キングダム』(2019)→『キングダム2 遥かなる大地へ』(2022)→『キングダム 運命の炎』(2023)→『キングダム 大将軍の帰還』(2024)の順に時系列が進みます。上映・配信情報は変わるため、視聴前に公式ページでご確認ください。