「あの声、誰だったんだろう?」
エンドロールを眺めても名前と役が結びつかず、モヤモヤしたまま劇場を出た方も多いのではないでしょうか。
『君たちはどう生きるか』の声優キャストは、山時聡真さん、菅田将暉さん、柴咲コウさん、あいみょんさん、木村拓哉さんら14名です。
実は本作、テレビCMも予告編も出演者の番組出演も一切なし。全キャストが明らかになったのは、2023年7月14日の公開から1か月以上経ってからでした。
そこで今回は、14名が演じたキャラクターを一覧で整理し、非声優中心という異例の配役への賛否まで踏み込みます。
観る前の方も、観たあとモヤモヤしている方も、ぜひ答え合わせのつもりで読み進めてください。
『君たちはどう生きるか』の基本情報
作品のスペックを先に整理します。
- 監督・原作・脚本:宮崎駿
- 公開日:2023年7月14日
- 上映時間:124分
- 配給:東宝
- 制作:スタジオジブリ
- 音楽:久石譲
- 主題歌:米津玄師「地球儀」
宮崎駿監督にとって『風立ちぬ』(2013年)以来10年ぶりの長編作品です。
『君たちはどう生きるか』の声優キャストは誰?14名一覧
主人公・眞人役は俳優の山時聡真さん、青サギ役は菅田将暉さんです。プロの声優ではなく、俳優・歌手・タレントを中心に起用されています。
| キャラクター | 声の出演 |
|---|---|
| 眞人(まひと) | 山時聡真 |
| 青サギ・サギ男 | 菅田将暉 |
| キリコ | 柴咲コウ |
| ヒミ | あいみょん |
| 夏子(なつこ) | 木村佳乃 |
| 勝一(しょういち) | 木村拓哉 |
| あいこ | 大竹しのぶ |
| いずみ | 竹下景子 |
| うたこ | 風吹ジュン |
| えりこ | 阿川佐和子 |
| ワラワラ | 滝沢カレン |
| インコ大王 | 國村隼 |
| 老ペリカン | 小林薫 |
| 大伯父 | 火野正平 |
この一覧と場面写真は、スタジオジブリ公式サイトおよび東宝の発表として2023年8月18日に解禁されました。公開から1か月以上が経ってからの公式解禁です。
『君たちはどう生きるか』主要キャスト5人の役どころ
主要5人は眞人=山時聡真さん、青サギ=菅田将暉さん、ヒミ=あいみょんさん、キリコ=柴咲コウさん、夏子=木村佳乃さんです。
眞人役・山時聡真はどんなキャラクターを演じた?
明日からの #食の匠の朝ごはん は#山時聡真 さん✨
— ZIP! 【公式】 (@ZIP_TV) August 27, 2026
舞台は茨城県・鉾田市
8月28日(金)~9月3日(木)
5日間にわたってお届け!お楽しみに🫶#ZIP!🤲🩵 pic.twitter.com/2vd2La9VM3
山時聡真さんが演じた眞人は、11歳の少年で本作の主人公です。
太平洋戦争のさなか、火事で母・ヒサコを失い、父・勝一とともに母方の実家へ疎開します。継母となった夏子に心を開けないまま、青サギに導かれて「下の世界」へ入っていきます。
山時さんは収録当時10代の若手俳優で、役の年齢に近い声がそのまま使われているように筆者には聞こえました。感情を張り上げず、低く抑えた発声が最後まで崩れません。
青サギ役・菅田将暉が演じたのはどんな存在?
菅田将暉さんが担当した青サギ(サギ男)は、眞人を「下の世界」へ誘う案内役です。
人間の言葉を話す不気味な鳥ですが、その正体は大きな鼻を持つ小男。敵として現れながら、旅の途中で眞人と友情を結びます。
筆者が劇場で強く印象に残ったのは、くちばしが割れて中の男の顔が現れる場面です。嘲るような甲高い鳥の声から、ぼやくような低い地声へ切り替わる瞬間に、キャラクターの正体が音で分かる作りになっていました。
ヒミ役・あいみょんが演じたのはどんな少女?
あいみょんさんが演じたヒミは、炎を操る赤い服の少女で本作のヒロインです。
その正体は、少女時代に「下の世界」へ迷い込んだ眞人の母・ヒサコ本人。母でありながら少女でもあるという二重性を、明るく張りのある声で成立させているように筆者には聞こえます。
キリコ役・柴咲コウは何役を担当した?
柴咲コウさんは、屋敷のばあや「キリコ」と、下の世界の若い女漁師「キリコ」を一人二役で演じました。
老婆と若い女性という声の落差が、二人が同一人物だと観客に気づかせる手がかりになっています。
木村拓哉と木村佳乃、二人の「木村」は誰を演じた?
木村拓哉さんは眞人の父・勝一を、木村佳乃さんは継母の夏子を演じています。
勝一は軍需工場を営む父親で、木村拓哉さんにとっては『ハウルの動く城』(2004年)以来2度目の宮崎駿作品への参加です。
夏子は亡き母ヒサコの妹で、姉と瓜二つの容姿を持つ人物。眞人にとっては叔母であり、継母でもあります。
『君たちはどう生きるか』の脇役キャストは誰が演じた?
脇役にも舞台・映像で長く活躍する実力派が並びます。
老婆4人(あいこ・いずみ・うたこ・えりこ)は誰が演じた?
あいこ役に大竹しのぶさん、いずみ役に竹下景子さん、うたこ役に風吹ジュンさん、えりこ役に阿川佐和子さんという布陣です。
俳優陣にエッセイスト・タレントの阿川佐和子さんが混ざっているのが特徴。4人の声質があえて揃えられておらず、一人ひとりを聞き分けられるように筆者には聞こえました。
インコ大王・大伯父ら残りのキャストは?
インコ大王を國村隼さん、老ペリカンを小林薫さん、大伯父を火野正平さん、ワラワラを滝沢カレンさんが担当しました。
國村隼さんの低く重い声は、下の世界の均衡を壊す王という役柄と直結しています。火野正平さんが演じた大伯父は、眞人に世界を継がせようとする塔の主です。
小さな生き物ワラワラに滝沢カレンさんを充てたのは、独特の抑揚を持つタレントを選ぶ宮崎作品らしい配役だと考えます。
なぜキャストは公開前に伏せられていた?
宣伝を行わない方針を決めたのは、スタジオジブリのプロデューサー・鈴木敏夫氏です。公開前後の各種インタビューで、宣伝をしないこと自体が宣伝になるという趣旨の説明を繰り返しています。
この判断により、2022年12月の公開日告知以降に出た情報は、青サギを描いたポスタービジュアル1点のみ。予告編もテレビCMも作られませんでした。
それでも興行成績は伸び、興行通信社などの集計を各メディアが報じる形で、公開1か月時点の動員は数百万人規模と伝えられました。最終的な興行収入は約90億円規模とされ、2024年3月の第96回アカデミー賞では長編アニメ映画賞を受賞しています。
筆者の見方では、この手法が成立したのは宮崎駿とジブリという名前だけで観客が動くからです。無名の作品が同じことをすれば、公開日告知だけでは数百万人規模の動員には届きません。
原作小説『君たちはどう生きるか』との関係は?
映画は吉野源三郎の同名小説そのものの映像化ではありません。小説は作中に登場する「本」として扱われます。
主人公・眞人は、亡き母ヒサコが自分のために遺したこの本を見つけ、涙を流します。物語の筋ではなく、母から子へのメッセージという役割で使われている形です。
原作小説を読んでいなくても映画は問題なく理解できます。ただ、なぜこのタイトルなのかという疑問は、この場面を見て初めて腑に落ちる作りになっていると筆者は感じました。
『君たちはどう生きるか』の声優は下手?プロ声優を起用しない理由
「下手」「棒読み」という評価が出るのは事実で、非声優中心の配役である以上、声の技術面で不満が出るのは自然だと考えます。ただしそれは失敗ではなく、宮崎駿監督が20年以上続けてきた意図的な選択です。
非声優の起用は今作で始まったものではありません。
- 『もののけ姫』(1997年)アシタカ=松田洋治、サン=石田ゆり子
- 『崖の上のポニョ』(2008年)耕一=所ジョージ
- 『風立ちぬ』(2013年)堀越二郎=庵野秀明(アニメ監督)
- 『ハウルの動く城』(2004年)ハウル=木村拓哉
とりわけ注目したいのが木村拓哉さんの再起用です。ハウルでは声そのものが作品の看板でしたが、今回の勝一は物語を動かす一要素にすぎません。
同じ俳優を、看板ではなく素材として使い直したところに監督の姿勢が出ていると筆者はみています。
批判側の論点も具体的に見ておきます。よく挙がるのは、台詞が聞き取りづらい場面があるという指摘と、専門的に訓練された声優の職能を軽んじているのではないかという指摘の二つです。
前者には部分的に同意します。台詞の情報量が少ない本作では、声の説得力に頼りたい場面で物足りなさが残りました。
一方で後者には同意しません。求めているものが「うまい発声」ではなく「その人の地の声」である以上、これは職能の否定ではなく、必要な素材が違うという話だと考えます。
考察:この配役表は何を意味するのか
筆者がこの14名を並べて感じるのは、宮崎駿監督が声の演技のうまさを最優先していない、という一点です。
読者にとっての意味も書いておきます。本作のキャストは「豪華俳優陣の共演を楽しむ」ためのものではありません。
誰が誰か分からないまま物語に浸ることを前提に組まれています。だからこそ、キャスト解禁が公開の1か月以上あとになったことにも筋が通ります。
今後への影響は限定的だとみています。本作の成功は、宮崎駿という特異な作家性込みの結果だからです。
ただ、この作品が国際的に評価されたことで、「うまい声=良い声」ではないという選択肢が以前より説明しやすくなったとは言えるでしょう。
まとめ
『君たちはどう生きるか』のキャストは14名。眞人役の山時聡真さんを中心に、菅田将暉さん、柴咲コウさん、あいみょんさん、木村拓哉さん、木村佳乃さんらが並びます。
公式解禁は2023年8月18日で、公開から1か月以上遅れました。プロ声優を中心としない配役は20年以上続く宮崎作品の方針であり、地の声の質感を優先した選択だと筆者は考えます。
よくある質問
声優は全員プロではないのですか?
俳優・歌手・タレント中心の配役です。宮崎駿監督は『もののけ姫』の頃から非声優を主要役に起用し続けており、本作もその延長線上にあります。
キャストはいつ発表されましたか?
2023年8月18日です。公開日は同年7月14日なので、1か月以上あとの解禁でした。
キリコ役はなぜ二役なのですか?
屋敷のばあやキリコと、下の世界の若い女漁師キリコが同一人物だからです。柴咲コウさんが老いた声と若い声を演じ分けています。